八橋橋近くの内科・消化器内科
〒010-0973
秋田県秋田市八橋本町5丁目8-31
             TEL: 018-895-7733

クリニック案内

医院名
医療法人 やばせ内科クリニック
診療科目
内科・消化器内科
理事長
俵谷 博信
住所
〒010-0973
秋田県秋田市八橋本町5-8-31
診療時間
8:30 - 12:30、14:30 - 18:00 
水曜・土曜 午後休診 日曜祝日休診
電話番号
018-895-7733

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院長コラム 『聴診記』

第6回 【胃食道逆流症 】
食べ過ぎなどに注意

   高齢化や食事の欧米化、飽食の時代になったことなどで、近年増えているのが胃食道逆流症です。胃液や胃の内容物が食道に逆流し、胃酸によって食道の粘膜が刺激されて起こります。

 食道と胃の間には下部食道括約部があり、普段は収縮して胃の内容物が逆流するのを防いでいます。胃食道逆流症の65%は、この括約部の緩みが原因です。実は、これはげっぷ(空気)が出るのと同じメカニズムです。食べ過ぎや飲み過ぎで胃が膨張した状態が続くと、空気の代わりに胃液が逆流しやすくなるようです。

 症状で一番多いのは胸焼けです。ほかに、みぞおちやのどが焼けるように痛くなったり、もちを飲み込むときに引っかかるようなのどの違和感、口が酸っぱくなる感じなどがあります。頻度は少ないのですが、嗄声(しわがれ声)、胸痛、ぜんそくのような症状が現れる患者さんもいます。

 昨年受診した八十代の方は数年前からせきが出て、ぜんそくの治療を受けてもあまり改善しなかったそうです。しかし診察したところ胃食道逆流症と分かり、治療によって頑固なせきから解放されました。特に夜中のせきがなくなったので、ゆっくり眠れるようになったと喜んでいました。原因不明の胸痛の原因が、この病気であった患者さんもいました。

 胃食道逆流症の診断には、一般的には内視鏡検査をします。それで逆流に伴う食道の発赤やただれが認められれば確定ですが、認められないときには胃酸の分泌を抑える薬を内服して症状が改善するかどうかで判断します。

 治療薬には胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤、H2ブロッカーなどがあります。プロトンポンプ阻害剤は、最も強力な胃酸分泌抑制剤です。ほかには胃酸を中和する薬や消化管運動機能改善剤などがあり、これらを組み合わせて使用することもあります。

 症状は、前かがみにならない、排便時の力みを避ける、ベルトや帯で腹を締め付けないといったことに気を付け、腹圧の上昇を避けることによっても緩和される場合があります。腹圧が上がると逆流しやすい状態をつくってしまいます。

 食事では脂肪の多い食物、香辛料、アルコール、喫煙は胃酸の分泌を促進したり、胃内での食物の停滞時間を長くし逆流を起こしやすくするので注意してください。また、食べ過ぎも胃酸の分泌を促し胃内の圧を上げますので、特に夕食はあっさりしたものを多めにすることを勧めます。食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすいので、食後一時間は横にならないようにしてください。

 最近は美食・飽食の時代になり、高齢者のみならず、若い人にもこの病気が見られるようになりました。日ごろから発症を招くようなことはしないように留意してください。もし発症が疑われるような症状が出て改善しないときは、受診して検査を受けてみてください。

第5回 【ピロリ菌除菌療法】
胃潰瘍などの再発減

   最近当院を訪れた患者さんの話です。

 胃の辺りが空腹時に痛むと訴える30代女性の患者さん。胃の検診で要精検とされながらも放置していましたが、最近は痛みがひどく、食事もあまり取れていないと話します。早速、径鼻胃内視鏡で検査したところ、十二指腸球部が変形しており、何度も繰り返し起こっている再発性十二指腸潰瘍(かいよう)でした。

 詳しく問診してみると、胃部痛が起きたのは今回が5回目。今までは、胃酸の分泌を抑える市販の薬を飲んでいる間は良いものの、その薬をやめてしばらくすると胃部痛がまた起きるという状態だったそうです。そこでピロリ菌について調べたところ、やはりピロリ菌が胃内に生息しておりました。すぐ薬の服用でピロリ菌を退治する「除菌療法」をしたところ、胃部痛も消失しました。

 ピロリ菌は、1983年にワレンとマーシャルというオーストラリア人医師2人が胃からの分離培養に成功、感染すると胃に炎症を起こすことが知られるようになりました。2人は2005年のノーベル医学生理学賞を受賞しています。

 胃潰瘍や十二指腸潰瘍は再発しやすく、治療がやっかいな病気と考えられていました。しかし、患者の多くがピロリ菌に感染しており、再発や治りにくさにもピロリ菌が関与していることが分かり、除菌療法で再発はかなり少なくなりました。

 除菌療法はまず、2種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬を1日2回、7日間服用します。これでうまくいかなかった場合には、抗生物質のうち1種類を変え、さらに7日間服用を続けます。07年8月にこの2回目の除菌療法が保険適用となってから、成功率が80~90%に上昇しました。

 ちなみに内視鏡検査には、今回の患者さんに用いた径鼻胃内視鏡のように細くて負担の少ないものもあります。怖がらずに検査を受け、ピロリ菌が見つかった場合は胃・十二指腸潰瘍の方は除菌療法を受けることをお勧めします。

第4回 【胃かいよう】
のみ薬で治療可能

   胃かいようと十二指腸かいようは消化性かいようと呼ばれ、胃や十二指腸の壁の組織が欠損する病気です。女性より男性の方が約三倍、発症率が高いことが分かっています。主な原因といわれてきたのが胃酸です。通常は胃の粘膜を保護する粘液や胃酸の力を和らげる重炭酸などが胃酸から胃壁を守っていますが、何らかの原因で胃酸が強まり防御する力が弱まってしまうことでバランスが崩れ、胃や十二指腸の粘膜が溶けてしまうようです。
 さて、明治の文豪・夏目漱石は「秋風や ひびの入りたる 胃の袋」と詠んでいます。漱石は若いころから胃弱に苦しみ、悩んでいたといわれます。漱石の生きた明治から大正にかけての時代、胃かいようの原因は不明でした。

 胃かいようと十二指腸かいようの痛みは食べた物が消化され、空腹状態になると起こりやすくなります。そのため深夜、睡眠中に痛みで目が覚めることもよくあります。かつての治療は外科手術によってかいよう部分を切除する方法が主流でしたが、現在は大転換を遂げ、大半のケースでのみ薬による治療が可能になりました。

 その契機となったのが、一九七六年に開発されたH2ブロッカーという治療薬でした。胃酸分泌の引き金となるH2受容体を遮断して分泌を抑え、治療する画期的な薬です。これによって胃かいようと十二指腸かいようの約80%が薬だけで治療できるようになり、「外科の病気が内科の病気なった」といわれました。その後、もっと強力に胃酸の分泌を抑え、効き目が強いプロトンポンプ阻害剤が開発されました。

 この二つの治療薬の誕生によって、ほとんどの胃かいようは薬での治療が可能になりましたが再発しやすいのが問題でした。しかし、この数年でヘリコバクター・ピロリ菌が、胃かいようと十二指腸かいようの最大の原因であることがはっきりしてきました。ピロリ菌の除菌によって再発がかなり減少し、それこそが根本的治療だといわれるようになってきました。

 発症には、ほかにストレスもかかわります。ストレスを感じ続けると自律神経が乱れ、胃液が過剰に分泌されたり、胃の血流が悪くなり、胃酸から防御する働きが弱まるそうです。中高年の男性に多かったのが、受験生や働く女性にもよく見られるようになったのはストレスの影響といわれます。
 ストレスは精神的なものばかりではありません。食事などが胃に直接与えるストレスも無視できません。一般に胃かいようになる人はせっかちで食事時間も短く、かきこむように食べる傾向があります。こうした早食いや喫煙、刺激物の取り過ぎは、胃にとっても大きなストレスになります。
 痛みが出るまで、人はあまり胃について考えません。しかし胃は正直で具合がよくないと、もたれ、げっぷ、食欲不振、吐き気など、さまざまなサインを送ってきます。そんな時は早めに検査をして治療し、胃をいたわってください。現在は細いサイズの内視鏡もありますので、怖がらず検査を受けることを勧めます。

第3回【ピロリ菌】
除菌療法で再発減少

 人間の胃の粘膜の中に生息し、らせん形をした細菌であるヘリコバクター・ピロリ菌についてお話ししたいと思います。

 ヘリコバクターの「ヘリコ」は、らせん形(helicoid)から命名されています。一九八二年にオーストラリアの二人の医師が胃からの分離培養に成功。ピロリ菌が胃の中に生息し炎症を引き起こすことを明らかにして、二〇〇五年のノーベル医学生理学賞を受賞しました。

 通常、細菌は強い胃酸のため胃には生息できません。しかし、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を持ち、菌の周辺をアルカリ性にできるので胃酸が中和され、それによって身を守っています。

 感染経路はすべて分かっていませんが、口を介した感染が大部分であろうと考えられています。感染は衛生環境と関係しているといわれ、上下水道が十分に普及していなかった世代で高い感染率となっています。

 感染して胃に炎症が起きても、大半の人は軽症で終わるため症状を自覚しません。一方で胃・十二指腸かいようの患者さんはピロリ菌に感染していることが多く、かいようの発生、さらに再発や治りにくさなどにピロリ菌が関係していることが分かっています。

 これまでは胃かいようや十二指腸かいようは再発しやすく、治療がやっかいな病気と考えられていましたが、薬によるピロリ菌の退治が可能となりました。この治療を除菌療法といい、二種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬の合計三剤を同時に一日二回、七日間服用します。除菌治療により、かいようの再発はかなり少なくなりました。

 ここで、数年前に外来を訪れた患者さんについてお話ししたいと思います。開業して間もなくのころ、胃の辺りが特に空腹時に痛いと五十代の男性が来ました。顔色が悪くやせ形で、食事もあまり取れていないと話していました。この男性はある会社の所長さんで、N市から秋田市に転勤になって一年がすぎたころだったそうです。

 胃ファイバースコープで検査したところ、十二指腸球部は変形し、何回も繰り返し起きている再発性十二指腸かいようでした。よくよく話を聞くと、その時で十四回目の胃部痛で、胃酸の分泌を抑える薬をのんでいる間はよいのですが、薬を止めてしばらくするとまた痛んでいたそうです。そこでピロリ菌について調べると、やはり胃内に生息しており、除菌療法をすると消失しました。その後、所長さんは食欲が増し顔色も良くなり、ほおもふっくらしました。

 胃部痛のある人は、現在は細い胃ファイバースコープもありますので怖がらずに検査を受け、ピロリ菌のいる胃・十二指腸かいようであれば除菌治療を受けることを勧めます。

第2回【胃内視鏡】
~がん発見、治療に威力~

 一般に胃カメラといわれる胃内視鏡の開発は、日本が世界に先駆けて行いました。戦後の早い時期から開発が進み、当時は管の先端に小型カメラを取り付け、細いフィルムを使って胃の内部を撮影していました。かなり苦しみを伴う検査だったようです。

 CCDなどを用いるようになった現在は、消化管内部を鮮明な画像で映し出すことができます。管も以前に比べるとかなり軟らかく、最近は一段と細くなって、ずいぶん楽に検査を受けることができるようになりました。

 胃内視鏡検査やバリウムによる造影検査の普及に伴い、胃がんは早期に発見されるようになりました。早期胃がんの分類法は約四十年前に作られ、何回も練り直されながら現在に至っています。もともと胃がんの多い日本では、なるべく早い段階で発見するための努力が積み重ねられたのです。それとともに治療も進歩しました。日本の胃がん診療は世界に誇れるレベルにあり、早期に発見、治療することによって治癒し、社会復帰している方が数多くいます。早期胃がんの五年生存率は95%以上になっています。

 かつて胃がんの治療といえば、まずは手術でしたが、一九八〇年代に胃内視鏡を用いてがんを切除する試みが始まりました。内視鏡的粘膜切除術(EMR)と呼ばれる方法で、全国に普及しています。しかし、転移があれば取り切れないので適応となりません。胃の内側から患部をかき取るような方法のため、胃の壁の深い所まで及んでいる病変も適しません。また、がん細胞にはいろいろあって、いわゆる「顔つきが悪い」場合は一見早期に見えて進行していることもあるため、最初から開腹手術を選択した方が安全です。

 胃内視鏡による治療として一九九九年ごろからはEMRを、より発展させた内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)が行われるようになりました。そのための機材も開発され、対象となる病変はEMR以上に拡大しています。

 とはいっても、やはり切除できる胃がんは限られています。開腹手術をすれば治る病変に対し、無理に内視鏡治療を選択することで根治を損なうのであれば本末転倒です。二〇〇一年にガイドラインが作成され、どのようなものが内視鏡治療の対象になるかが示されています。最も大切なことは内視鏡で切除できるような早期段階で発見することであり、それには定期的に検査を受けることが大切です。

 最近、七十代の女性に内視鏡検査を行ったところ、早期の胃がんが見つかり、秋田市内の病院でESDにより切除していただきました。患者さんは数日の入院で退院。胃はそのまま残っており、以前と変わらない生活が送れるので本人も家族も喜んでいました。

 最近では、ほとんどの医療機関でがんの告知が行われています。がんと告げられれば誰でも驚くでしょうが、早期胃がんであれば、ぜひ前向きに治療に取り組んでいただきたいと思います。


第1回【大腸がん】
~積極的に検査、治療を~

 大腸は小腸の末端と肛門までの間をつなぐ管状の臓器で盲腸、結腸、直腸に大別されます。大腸がんは、その大腸にできた悪性腫瘍(しゅよう)で発生した部位により盲腸がん、結腸がん、直腸がんと呼ばれます。

 大腸がんの罹患(りかん)者は胃がんについで多く、患者数は年々増加傾向にあります。特に、結腸がんの増加が顕著です。原因に関しては食事の欧米化に伴う高脂肪の摂取、食物繊維の不足などが関与していると考えられています。
 初期の大腸がんは、ほとんど症状がありません。ある程度大きくなると血便、貧血、便通異常(下痢、便秘、または両者を繰り返す)、おなかの張り、腹痛などが起きます。さらに大きくなるとしこりとして触れたり、腸閉塞(へいそく)を生じて強い腹痛や嘔吐(おうと)などをきたします。
 大腸がんを見つけるため、検診などでは便潜血検査が行われています。この検査は、便に付いた血を調べます。血液が百万分の一に薄まっていても発見可能な高い感度を持っています。しかし、痔が原因で陽性反応となることがありますし、陰性でもがんが存在することもあります。確実に診断するには注腸(大腸のバリウム検査)や内視鏡検査を行います。確定診断をするには、内視鏡検査の際にその組織の一部を採取して組織診断をします。
 内視鏡検査では診断技術の進歩により、クレーターのようにくぼんでいる「陥凹型がん」が見つかる場合もあります。このタイプは大腸の壁の細胞が直接がん化するため、くぼんでいると考えられ、内視鏡検査でないと早期に発見できません。以上をまとめますと便潜血検査は大勢の人を調べる検診に適しており、大腸がんの死亡率を下げるメリットがあります。一方、内視鏡検査では機器の進歩によって、早期がんの診断が可能です。
 また、粘膜内がんなど早期がんの一部は大腸内視鏡で切除できます。最近は腹腔鏡を使用した手術もたくさん行われるようになっています。進行がんの治療は外科手術が第一選択になり、がんとその周囲のリンパ節を摘出して腸を再びつなぎます。
 大腸がんにかかる可能性が高い集団を「高度危険群」と言います。高度危険群には大腸がんの既往、大腸ポリープの既往、潰瘍性大腸炎またはクローン病に十年以上かかっている、痔瘻(じろう)に罹患といった人が当てはまります。大腸がんは大きくなっても全く症状がでないことがあります。便潜血反応で陽性となった人はもちろん、高度危険群に該当する人、前述したような症状がある人は早めに受診してください。早期発見・早期治療が大事なのは言うまでもありません。
 今や消極的に病気とかかわる時代ではありません。積極的に検査を受け、病気を見つけて取り除き、自分の身は自分で守る姿勢が大切です。その手助けをするのが医療者の役目と考えています。